cb シュナンブラン 日仏商事所有。ワイナリー責任者は筒井草(カヤ)コンサルに大岡弘武氏。2年間低温発酵後熟成。繊細で柔らかな旨み
<輸入元様資料より> ワインについて
詩旅 Shi Ro 2019 シロ
スティル 白
シュナン100%
粘土石灰質土壌
―樹齢28年、南東向きの緩やかな斜面の区画。収穫を二回にわけて行った。一回目の収穫では森の近くの酸が保たれた状態のブドウと、実が付きすぎていて熟す前に破裂の危険性があるブドウを収穫し、垂直式プレスでダイレクトに圧搾を行い、重力によって樽に入れる。1週間の間隔をあけて行う二回目の収穫では黄金色に熟した、残りのものを収穫。ダイレクトプレスで樽に入れて発酵、熟成。2年間の発酵期間の後、アッサンブラージュを行いタンクで2年の発酵、熟成。2023年9月に瓶詰め。
微量(約3g弱)の糖が残った状態での瓶詰めとなったため、シャンパーニュ用ボトルに瓶詰めをし、コルクを打栓したうえで王冠を打栓。輸送や保管時の液漏れのリスクがないようにした。
2019年の特徴
―剪定時期である2月にすでに20度まで気温があがることもあり、例年よりも早い萌芽を迎えた。その後、4月頭、5月頭と二度にわたり氷点下まで気温が下がる日があり、フランス各地で寒波による霜害が聞かれたが、幸いにも当社ワイナリーはその被害を免れた。 6月と7月には気温が40℃を記録する日もあり、この熱波の影響がブドウに見られた。ブドウの病気のリスクが高まってくる5月以降、6月、7月とほぼ雨の降らない乾燥した春と夏となり、病気の心配をすることがほぼない年であった。8月に入りブドウが色づき始めてから(ヴェレゾン時)も降水量は少なく、果汁が少ないブドウになってしまうことが懸念されたが8月後半から9月頭にかけて少し降った雨のおかげで幸いにも大きな問題とはならなかった。 収穫期間は9月 19 日から10月1日。「乾燥と猛暑」が2019年の特徴。それでもブドウの酸が失われることなく、小粒ではあるが味の凝縮した暑い年らしいブドウとなった。
<輸入元様資料より> 生産者について
Les Jardins de La Martiniere
レ ジャルダン ド ラ マルティニエール
場所
―ワイナリーはロワール川の左岸、メーヌ=エ=ロワール県アンジェから南東に約20km、ソミュールから北西に25kmという位置にあるクチュール村に位置する。敷地総面積は森や建物も含め11.53ha。
歴史
―「ラ・マルティニエール」という場所は、17世紀から文献に登場しており、18世紀よりワイン造りをスタートしていた。その当時の圧搾機や、発酵槽、また20世紀に使われていたと思われるコンクリートタンクなど、これまでのワイン造りに使用されてきた醸造機材の名残がワイナリー内、地下回廊に散見される。 また、ワイナリーすぐ横を通る近代的な県道ができるまでは、敷地内を馬車が通っており、人々の往来が行われていた。そんな立地からか、ワイナリー内には大きなパン窯が2つあり、当時は村人たちのためのパン焼きも行われていたようだ。敷地内には小さなシャトー(マノワール Manoir=洋館)も存在し、まさにクチュール村の生活の基盤となっていたような場所である。 直近の持ち主としては、2014年から2017年までグザヴィエ・カイヤール氏(Xavier CAILLARD)が管理をしており、有機栽培を行っていた。
マルティニエールの土壌
―基本的には粘土石灰質土壌だが、一部砂地石灰質土壌。土からは砂岩(grès)と石灰岩の一種チュフォ(tuffeau)が採れる。保水性・排水性に優れており、雨が降った後もすぐに土が乾く。すべての畑が同じ敷地内にひとまとまりにあるが、場所によって粘土量や砂の配分の違いがあり、モザイク状の土壌となっているのが特徴である。 ワイナリーが位置するのは一般的にカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に AOCアンジュが造られている地域。その中でも、さらに細かく限定された AOCアンジュ・ヴィラージュ(赤)の畑にあたり、より長期熟成タイプのものが造られている。そこはアンジュー・ブランとアンジュー・ノワールのちょうど境目の位置になり、アンジュー・ノワールにカテゴライズされながらも母岩はチョークのような石灰質土壌で構成されている。 そんな特異性のある土壌ゆえ、ここ数年アンジュー・ノワールとアンジュー・ブランの境目にあたる生産者たちの間では新たなる白のAOCを創設しようという動きが盛んになっている。
畑
―最大の特徴は、すべての畑が同じ敷地内に存在しており、隣の畑の影響を受けずにマルティニエール独自のテロワールが形成されていることにある。また、西側から東側へ風が抜け、湿気が溜まりにくくなっている地形が生むマイクロクライメイ(局所気候)のおかげで霜被害に遭いにくい。全体の畑の総面積は6ha。標高は一番高いところで70mほど。すこし小高い丘になっている。密植度は4,500本/ha。樹間が1mで畝間が2mとなっている。
区画の特徴(2019年・2021年のワインに使用した区画)
・シュナン(区画)-南東向きに緩やかな傾斜のついた平地。ドメーヌの中央に位置する。北側に森があり、森の近くは湿度が高く、森の肥沃な土壌の影響もありブドウには酸が残りやすい。
・丘のカベルネ(区画─-南東向きの斜面。日当たりのよさ、土壌の肥沃さから、一番実が付く区画。特に傾斜の下部分には土が溜まりやすく、養分も流れるため、樹勢が比較的強くなっていて、フレッシュな果実味を楽しめるブドウがなる。
・東のカベルネ(区画А-ドメーヌの東側に位置する一番若いカベルネ・フラン。とても痩せた土地なので、実がまばらになっている。低収量で凝縮した味わいとなり、長期熟成に向いた区画。
・接ぎ木のカベルネ(区画◆-ドメーヌ北側に位置する若いカベルネ・フラン。2019年から少しずつシュナンブランへの接ぎ木が行われた区画(2023年完了。)若い区画で、樹勢も比較的強く、酸のあるブドウを取ることができる。
仕立て方(剪定)
耕作作業
―鉄線を4本張った垣根方式を取る。剪定はブドウの葉が落ち完全に冬眠状態に入った12月中旬から3月下旬までのブドウの休息期間中に行う。基本的には、短梢を2つ、長梢(バゲット)を1つ残し、樹液の流れを尊重するギヨ・プサール型の樹冠管理をする。樹液の流れを守ることで、ブドウの木を傷めず、ヴィエイユ・ヴィーニュ(VV)と呼ばれる区画になるまで成長させてあげることが可能になる。長い年月をかけて成長した古木は、地中の奥深くまた広い範囲に根を張り巡らせ、それはワインに複雑味をもたらしてくれる。収量は樹勢の強い丘の区画で35hl/haほど。樹勢の弱いVVでは10hl/haほど。目的は土壌の中にいる微生物や虫たちが活発に活動できる環境を作り出すことにあり、耕起作業を行うかどうかは、区画(樹勢の強さ)によって変わる。必要がある区画では、畝崩しをすることでブドウ木の足元の雑草管理を行い、列の間は耕すことで空気を入れ替え、樹勢を高める。冬の間は近所に住む羊飼いから羊を借りて畑内に放牧することで、雑草を食べてもらうと同時に自然な形で肥料を与えることができている。羊飼いにとっても冬の期間中は食料が少ないため、畑に置いておけるのは助かっておりwin-winの形となっている。
ワイン
醸造所
―地下洞窟にあり、すべての畑の中心に位置する。ブドウは、たとえ手摘みで全房であったとしても収穫時にケースに入れる段階で傷ついたりするため、収穫した瞬間から酸化のリスクがある。そのため、畑から醸造所までの距離というのは、亜硫酸を使用しない自然派ワイン造りにおいては欠かせないポイントとなってくる。地下にあることで、年間を通して温度が比較的安定しており、たとえ猛暑の夏でも醸造所内は16℃ほどまでしかあがらないため、温度調整をしなくとも、ゆっくりとした低温発酵が可能である。また、醸造所入口から樽保管場所まで、傾斜がついており、ポンプを使用せずに重力のみでワインの樽入れを行うことができる。
醸造機材
・圧搾機
―イタリア製の油圧式の伝統的な垂直プレス(5ヘクトリットル)。最近は、大容量の空気圧式水平プレスが主流だが、綺麗なジュースを絞り出すという点では垂直式プレスが良い。昔ながらの垂直式プレスを選んだのは、時間はかかるがクオリティを追及した結果である。例えば、当ワイナリーの所有する5ヘクトリットルのバスケットをプレスするのにかかる時間はブドウが一切潰れていない状態で約1時間、一度プレスしたものを切り返してプレスする際は2時間〜3時間かかる。つまり、一回分のプレスで計3時間〜4時間かかってしまう。しかし、それよりも速く圧搾するとバスケットの中でも上部と下部のみに力がかかり、中心部分は潰れていない実が残ってしまうため、ゆっくりと圧搾する必要がある。また、垂直にプレスをすることで果皮がフィルターの役目を果たし、透明度の高い綺麗なジュースが取れる。近代的な水平式プレスでは量にかかわらず圧搾には約1時間〜1時間30分かかるのが普通で、一度のプレスですべてのジュースが絞り出され、ブドウはかなりの乾燥状態になる。短時間でプレスされたものは、ジュースに果皮やブドウの軸が混ざり、濁りが強くなりすぎるためタンクで1日放置して澱を落ち着かせて、綺麗になったジュースを別タンクに移す必要性が出てくる場合がある(デブルバージュ)。ジュースの移動というのはジュースにとっては負担になり、味わいが変わってしまうので当ワイナリーではなるべく避けている。また移動する際もジュースへの負担が増すポンプは使用せず、すべて重力によって行っている。
・醸造タンク―30ヘクトリットルのグラスファイバータンクを使用して、マセラシオン・カーボニックを行う。なるべく直径があるタイプのタンクを使用することで、ブドウの自重によってブドウがつぶれてしまう事を最小限に抑え、完全なマセラシオン・カーボニックを行う事が可能になる。発酵に時間がかかるものは、断熱材を巻いて、熱が逃げないようにして温度を高め発酵を促進する。
・樽―白、赤ともに225リットルのボルドー型の樽。樽のニュアンス出すぎないよう4回あるいは5回、ワイン熟成に使用されていたものを使い、アルコール発酵段階から樽入れを行う。
筒井 草(つつい かや) ―1993年 フランス生まれ、4歳で日本へ。
―2017年 同志社大学商学部卒業後、同年渡仏。
―2018年 グザヴィエ・カイヤール(レ・ジャルダン・エスメラルダン)から、ブドウ栽培の基礎を学ぶ。 同年 6 月、レ・ジャルダン・ド・ラ・マルティニエールに就職。
―2019年 ソミュールのBPREA(ワイナリー責任者養成学校)に入校、2020年資格取得。 同年、南仏エクサンプロヴァンス(AIX-EN-PROVENCE)のドメーヌ・スローズで研修を行う。
―2020年〜 レ・ジャルダン・ド・ラ・マルティニエールのワイナリー責任者就任。
オリヴィエ・ノー(Olivier NEAU)
―音楽バンドのマネージャーやテアトルでの劇団員として、長く芸術の世界に身を置いてきた人物。
―2017年 ワインの世界へ転身し、地元の大小さまざまなワイナリーで経験を積む。その後、自ら畑を取得。
―2021年 自身のワイン造りをスタート。 現在も平日はワイナリーで働きながら、週末は自らの畑を管理する生活を続けている。
―2026年 2月よりマルティニエールに栽培長を務める。
阿部勘司(あべ かんじ)
―1992年 宮城県・石巻市出身
―2011年 仙台市の飲食企業コンセプション(渋谷;WINE STAND タンバリンなどを運営)でサービスマンとして働き出す。
レストランやバーを切り盛りする最中、BATONS 板垣氏との出会いをきっかけに、ヴァン・ナチュールの世界に傾倒していく。
―2025年 9月の収穫からフランスに移住しマルティニエールで働き始める。